1. 電気代はなぜ上がる?
電気代の値上がりは主に燃料費調整額の高騰と再エネ賦課金の上昇、そして電力供 給力不足が主な要因です。
燃料価格の高騰は、燃料費調整額を通じて電気料金に影響し、再エネ賦課金は再生可能エネルギーの買い取りコストを負担するための料金です。また、電力供給力不足も電気料金の値上げにつながることがあります。
燃料費調整額の高騰
電気料金には燃料(原油、石炭、LNGなど)の価格変動を反映する燃料費調整額が加算されます。燃料価格が上昇すると燃料費調整額も上がり、電気料金全体の値上げにつながります。
再エネ賦課金の上昇
再エネ賦課金は再生可能エネルギー(太陽光、風力など)の導入を促進するために全ての電気利用者に負担される料金です。再生可能エネルギーの導入コストを賄うため再エネ賦課金は値上げされることがあります。
電力供給力不足
電力供給が十分でないと、電気料金が高くなる傾向があります。これは、発電設備の 老朽化やメンテナンス不足、燃料供給の不足など様々な要因で引き起こされることが あります。
その他の要因
- 円安:円安になると、海外から輸入する燃料費が高くなるため、電気料金の値 上げにつながることがあります。
- 国際情勢の変化:例えば、ウクライナ情勢の影響で天然ガス価格が高騰し、 電気料金の値上げにつながった例もあります。
- 季節による消費電力の増加:夏の冷房や冬の暖房など、季節によって電気消費量が増加すると電気料金も高くなる傾向があります。
- 政府の政策:例えば、再エネ導入の促進や脱炭素化に向けたエネルギー政策の変更なども電気料金に影響を与えることがあります。
これらの要因が複合的に作用し、電気代の値上がりが起こっています。
2. 射出成形工場では何が電気を食うか?その対策は?
1. 射出成形機の電力消費が大きい
射出成形はプラスチックを高温で溶かして型に流し込む工程です。そのために使われる成形機(特に油圧式・ハイブリッド式・電動式)は以下のような多くの電力を消費します。
- ヒーターによる加熱(樹脂を溶かす)
- モーター駆動(型締め・射出・冷却)
- 補助設備(チラー、乾燥機、コンプレッサーなど)
2. 生産稼働時間が長い
多くの射出成形工場は24時間体制・三交代制で稼働するケースが多く、年間通して電力を常に使い続けます。
3. 原価に占める比率が高い
製品1個あたりの材料費と並び、電気代は直接原価に大きく影響します。特に大量生産・ 低単価な製品では電気代の削減が利益率改善に直結します。
4. エネルギーコスト上昇のリスク
電気料金の高騰や燃料調整費の変動などにより、予期せぬコスト増加リスクもあります。
電気代を管理・削減する方法
- 電動式射出成形機への更新
油圧式に比べ電動機は電力効率が高く、30~70%程度の省エネ効果があり
- 稼働率・待機電力の見直し
不要な待機時間やアイドリング時間の削減で電力の無駄を減らす
- 補助設備の高効率化
例:インバータ付きコンプレッサー、省エネチラー、高効率乾燥機など
- ピーク電力の管理
契約電力を超えないように、タイマー制御やピークカット制御を導入
- エネルギー監視システムの導入
設備ごとの消費電力量を「見える化」し、改善活動につなげる
消費電力の比率イメージ
中小規模の射出成形工場(10~20台の成形機を保有)での電力消費比率の一例
消費先 |
電力使用割合(目安) |
射出成形機本体 |
50~70% |
乾燥機(ホッパー or デシカント) |
10~30% |
チラー・温調機 |
5~15% |
コンプレッサー |
5~10% |
その他(照明・事務・空調など) |
5~10% |
3. 省エネに貢献するハーモの製品群
ホッパードライヤー「断熱コート」の装着
一般的なホッパードライヤー
- 金属性ドラム内へ樹脂を投入
- 発熱ヒーターからの熱風をドラム内へ送風し、樹脂を乾燥する
- このため、一定時間以上金属ドラムへ供給される熱量は金属ドラムの外面を通じて室内へ自然放熱される
改善策
金属性ドラムへ断熱コートを巻きつけ、放熱を削減する放熱を削減することで省エネ効果があります。
ホッパードライヤーに「断熱コート」を装着

断熱仕様の電気消費量
|
24h稼働の 消費電力(kW) |
電力量料金 (24h稼働) |
21日稼働の 電力量料金 |
電気料金 (12ケ月) |
1. 断熱コート無し |
31.3 |
¥728 |
¥15,288 |
¥183,456 |
2. 断熱コート有り |
28.2 |
¥656 |
¥13,776 |
¥165,312 |
1-2=差額金額 |
3.1 |
¥72 |
¥1,512 |
¥18,144 |
年間 18,144円の電気代を節約
【電気料金計算条件】1KkWh=23.26円(東京電力)、乾燥温度100℃
ホッパードライヤー「排気熱交換器」の装着
一般的なホッパードライヤー
一般にホッパードライヤーへ供給される熱風は樹脂乾燥ドラム内を通過した後、粉を取り除くためのサイクロンへ送られ、室内へ自然排気される。一定時間以上を経過した熱風はドラム内で熱交換されても、排出される時点ではまだ一定の熱量を蓄えたまま室内に放出されてしまう。
改善策
サイクロンを通過した排気を熱交換器へ通し、交換された熱量を再度乾燥ドラムへ戻すことで放熱を削減。更にフィルターを通過させて排気させることで、室内のクリーン度を保つ。

- 乾燥機より排出される熱風と、新たに送られる乾燥エアが熱交換器を介して熱交換。安定した循環エアによる材料乾燥が行えます。
- 乾燥用に取り入れられたエアは送風用のブロワで加熱用ヒーターに送られますが熱交換器によって昇温されることにより加熱ヒーターの通電量が削減。ヒーターの消費電力が低減されます。
- 乾燥機から排出される熱風は効率の良い熱交換器によって温度が下がった状態で室内に排出。室内の空調設備の消費電力を抑えます。
省エネ効果(一例)当社計測比
THD-25F |
80℃設定 |
100℃設定 |
120℃設定 |
標準機 |
¥222,337 |
¥307,620 |
¥407,362 |
熱交換器付 |
¥180,552 |
¥219,256 |
¥273,602 |
省エネ効率 |
18.8% |
28.7% |
32.8% |
省エネ金額 |
¥41,785 |
¥88,364 |
¥133,760 |
年間 133,760円の電気代を節約
【電気料金計算条件】1KkWh=23.26円(東京電力)、乾燥温度100℃
【測定状況】気温10~20℃、ブロア吸引温度30℃(一定)、電気代 1kwh=¥23.26、1年間(365日)24時間計算
除湿乾燥機の「省エネモード」
エコモード切替搭載。材料によってエア消費量を抑えることが可能。
汎用樹脂はエコモードで電気代を節約できます。
|
標準モード |
エコモード |
エア消費量 (l/min) |
125 |
75 |
コンプレッサー消費電力 ※1(kwh) |
1.36 |
0.82 |
月間消費電力量 ※2(kwh) |
¥18,980 |
¥11,444 |
月間 7,536円、年間 90,432円の電気代を節約
※1 除湿乾燥運転 1時間当たりの実測値
※2 24時間、25日稼働 1kw=23.26円で算出
トータルリンク「終了時周辺機器自動オフ」機能
無駄な電力を消費しているケース
- 材料交換の際に材料乾燥機の電源は切られていても、金型温度調節器の電源は入ったまま
- 金型交換の際に金型温度調節器の電源は切られていても、材料乾燥機の電源は入ったまま
- 材料が不要な状態でもホッパーローダーは空吸いのまま動き続けている
- 粉砕物がない状態で粉砕機が動き続けている
成形現場においては段取り替え作業以外にも製品の検査や梱包作業、完成品の運搬など多くの業務があります。業務の緊急度や優先度により成形終了後すぐに段取り替え作業を行なえず、その間に周辺機器は動き続けて無駄に電力を消費しているケースもあります。
ハーモのトータルリンクで無駄な電力をカット
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通常:成形終了後、全ての周辺機器を停止しなければならない

トータルリンク:ロボットが運転終了を自動で指示

1回の段取り替えで15分ロスした際の年間の電気料金例
|
15分当たりの 電気消費量 |
一日当たり 段取り替え回数 |
月稼働日 |
年間電力料金 |
金型温度調節器 |
0.53kW/h |
2回 |
20日 |
5,917円 |
除湿乾燥機 |
0.52kW/h |
2回 |
20日 |
5,806円 |
粉砕機 |
0.19kW/h |
2回 |
20日 |
2,121円 |
合計 |
1.34kW/h |
2回 |
20日 |
13,844円 |
- 1時間当たりの金型温調器の消費電力量:2.12kW/h×23円26銭=49.3円
金型温度調節器ポンプモーター0.74kW2P、ヒーター容量3kW、温度設定80℃、供給水25℃で計測
電力料金は東京電力2023年2月15日公表平均市場価格(円1kWh当たり)を参照
- 1時間当たりの除湿乾燥機の消費電力量 : 2.068kW/h× 23円26銭=48.1円
除湿乾燥機ヒーター3kW、ブロワー1.5kW、設定温度120℃で計測
- 粉砕機一馬力 : 0.75kW/h× 23円26銭=17.5円
トータルリンクの詳細を見る
まとめ
周辺機器機を使った電気代対策でやれることは多々あります。射出成形周辺機器の国内唯一の総合メーカーであるハーモだからこその製品群で皆様のお悩みを解決できるかもしれません。お気軽にご相談ください。