カーボンニュートラルを実現する取出ロボット

カーボンニュートラル取組みの現状と課題

令和4年7月に経済産業省環境経済室から発表された、『中小企業のカーボンニュートラル施策について（経済産業省）』によると、日本の温室効果ガス（GHG）の排出量は2017年時点で7.1億トンと推計されます。その内、中小企業から排出される温室効果ガス（GHG）排出量は年間1.5億トン～2.5億トンと日本の排出量全体の1割～2割を占めます。

進まなない中小企業のカーボンニュートラル対応

中小企業の多くはカーボンニュートラルについて自社の経営に何らかの影響があると感じつつも、具体的な方策を検討するに至っていません。財政基盤が必ずしも盤石でないことに加え、情報面、知識面や人材面で制約があり、「初期コストの高い対策が取りにくい」「そもそもどのような取り組みを行なえばよいのかわからない」といった課題があります。このため、具体的に取り組んでいる企業は10.8％、検討している企業は9.2%と取り組み進捗度合いはまだまだ低いのが現状です。

また、トヨタ自動車の熊倉和夫調達本部長は「カーボンニュートラルで仕入れ先を悩ませていないか」との不安を抱えられていました。理由としては「CO2排出量をどう把握し、どう対処して良いか分からない」「カーボンニュートラル対応へのコストアップにどう向き合うべきか」「ガソリン車やトランスミッションを主とする仕入れ先は将来不安を抱えている」など、仕入れ先から課題が寄せられ、何処から着手するか、仕入れ先と一体となって決めていくと述べられています。

今後、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、自動車をはじめとするグローバルサプライチェーンに参画されている射出成形業者様も、具体的な温室効果ガス削減策を求められることが予想されます。

こうすればできる射出成形のカーボンニュートラル

企業活動に伴うCO2排出には、人やモノの移動に使用される石化燃料の消費に伴うCO2排出、動力源や光源・熱源として使用される電力消費に伴うCO2排出、原材料の生産又は廃棄に伴うCO2排出に分けられます。

電力消費と原材料使用に伴うCO2排出

射出成形におけるCO2排出量の中でも、電力消費と原材料使用に伴うCO2排出は多くの割合を占めることから、射出成形機の電動化や植物由来の樹脂による製品開発も進められています。
射出成形に使用される機械は射出成形機以外に周辺機器もあり、周辺機器の電力削減策は射出成形機の電動化と共に有効なCO2削減手段となります。

射出成形に使用される樹脂のCO2排出

また、射出成形に使用される樹脂に関わるCO2排出には、石化メーカーの樹脂生産に伴い排出されるCO2排出と、樹脂廃棄時の焼却に伴うCO2排出があります。これらのCO2排出量は、射出成形加工業による直接排出ではありませんが、排出削減カテゴリー・スコープ３では、原材料の使用量を削減することによるCO2削減、廃棄量を削減することによるCO2削減として、射出成形加工業におけるCO2削減策につながります。

取出しロボットによる電力削減とCO2排出量の削減策

段取り時間の短縮要請や成形現場作業者の人手不足は、作業者一人当たりの受け持つ成形機台数の増加に繋がり、ヒューマンエラーも増加します。ヒューマンエラーの中には成形終了時の周辺機器の電源切り忘れもあります。

取出ロボットのトータルリンク機能で無駄な電力を削減

取出しロボットのトータルリンク機能を使えば、取出しロボットが成形終了に合わせて、周辺機器を一括自動停止させます。ヒューマンエラーによる成形終了時の周辺機器電源の切り忘れを防止することで、周辺機器の無駄な電力削減に伴うCO2排出削減を実現します。

取出ロボットの周辺機器自動一括停止によるCO2排出削減効果

事例段取り替え月５回、成形機保有台数50台で、段取り替え１回あたり15分除湿乾燥機・金型温度調節器・粉砕機を無駄に動かした場合、CO2排出量は年間0.42トンに及びます。※ 1Kwh当たりのCO2排出量0.451㎏（東京電力より参照）

• 除湿乾燥機
  0.52kwh×0.25×0.451＝0.059㎏のCO2排出
• 金型温度調節器
  0.53kwh×0.25×0.451＝0.06㎏のCO2排出
• 粉砕機
  0.19kwh×0.25×0.451＝0.021㎏のCO2排出

ハーモの取出ロボット機能『トータルリンク』

ハーモの『トータルリンク』は周辺機器の設定・起動・モニタを一括管理するRPA（Robotic Process Automation：ロボットによる業務自動化）システムです。
取出ロボットと連携することで、射出成形の自動化・品質向上・コスト低減を実現します。

取出ロボットによる廃棄樹脂の削減とCO2排出削減策

取出ロボットによる廃棄樹脂の削減

成形終了と共に行う樹脂替え作業は、射出塔バレル内に残った樹脂をパージする作業を伴います。パージされた樹脂の塊は、再利用されず廃棄され、廃棄された樹脂の塊は処理業者によって、埋設されるか焼却されます。
平成11年の政令145国「地球温暖化対策の推進に関する施行令」第3条第1項の参考資料によれば、廃棄された樹脂1トンの焼却に伴うCO2排出量は２.765トンとされています。

無駄な樹脂廃棄に伴うCO2排出を削減

成形終了時に成形機上のホッパー内に残った樹脂の多くは、作業者により成形機上のホッパーから回収されます。しかしながら、段取り替え時間短縮の要請や人手不足等の理由から、ミニホッパーのガラス管内に残る少量の樹脂は回収されることなくパージされて、無駄に樹脂を廃棄されているケースを見かけたりします。
取出ロボットのトータルリンク機能を使えば、このような無駄な樹脂廃棄に伴うCO2排出を削減することができます。

取出ロボットのトータルリンク機能

• ロボットコントローラが樹脂の最適供給時間を自動演算
• 成形終了に合わせて必要最小限の樹脂を成形機上のホッパーへ供給

上記の機能により、成形機上のホッパーに残る少量の樹脂のパージによる無駄な樹脂廃棄を削減でき、廃棄樹脂焼却に伴うCO2排出削減を実現します。

取出ロボットの最適樹脂供給によるCO2排出削減事例

① 左の画像

• 連続生産中に何らかのエラーで成形機停止した
• 加熱筒とホッパー内の残量を廃棄した際の実例重量
  • 夜中に取出ロボットが予定個数を終了して自然に材料が余ることと同等

② 右の画像

• トータルリンクによる材料調整機能を活用
• 材料ロス分をサンプルした実例平均材料
  
  • PA6で成形した場合、平均1日614gが余り、①と比べると約半分で済む
    
    

1回のパージで609ℊの廃棄樹脂量を削減できれば1.68㎏のCO2排出削減

• 成形機1台当たりの金型交換月10回の場合
• 成形機50台を保有

上記の成形工場の場合、年間CO2排出削減量は10トンにも及びます。

取出ロボットによる樹脂使用量削減とCO2削減策

取出ロボットの「最適樹脂供給機能」

一般社団法人プラスチック循環利用協会の「ライフサイクルアセスメント（LCA）を考える」の、樹脂製造ライフサイクルインベントリー（LCI）評価によると、石化メーカーが1トンのポロプロピレンを製造するには、1,483トンのCO2を排出するとあります。
取出ロボットの「最適樹脂供給機能」を使い廃棄樹脂を削減できれば、トータル的に樹脂使用量も削減することが可能となります。よって、石化メーカーの樹脂生産によるCO2排出を削減することに繋がります。

取出ロボットの「最適樹脂供給」によるCO2排出量の削減事例

• 最適樹脂供給による無駄な樹脂削減量609ℊ
• 月の金型交換10回
• 使用樹脂ポリプロピレン

上記の場合、成形機1台当たりの年間CO2排出削減量は0.11トンとなります

カーボンニュートラルに取り組むメリット

製造原価の低減

エネルギー使用量や樹脂使用量からCO2排出削減可能量を把握し、計画的・効率的な投資やプロセス改善を行うことで、製造原価を低減するメリットが見込めます。

融資条件の優遇等、資金調達面のメリット

今後、金融機関はESG投資（サスティナビリティー・リンクローンやトランジションファイナンス等）の推進を拡大する方向性を打ち出しており、SBT認定による融資条件の優遇等、資金調達面のメリットが見込めます。

投資コストの低減

排出削減量をクレジット化し売却する場合は、投資コストを低減することもできます。

補助金のメリット

ものつくり補助金のグリーン枠の支援策を受けることも可能です。

企業価値の向上

具体的CO2削減策の推進は取引先企業から選考されやすくなり、既存取引先との強固な関係性の構築と共に、新規取引先の開拓にも繋がるメリットが見込めます。

企業競争力の向上

製品単位の排出削減量の見える化は、製品の差別化により企業競争力を向上させることができます。

まとめ

• 取引先からカーボンニュートラルの取組み要請があるが、何から取り組めばよいのか分からない
• 実際にどれくらいのCO2削減効果が見込めるか分からない
• どのような取り組みがあるのか分からない

上記のようなお悩みをお持ちの射出成形加工業者様は、取出しロボットのトータルリンクで解決できます。ぜひお声がけください。

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