● レポート
ハーモウェブセミナーレポート『急速に進みそうな車のEV化と射出成形の対応』2022/2/22開催
2022年2月22日(火)に開催したハーモウェブセミナー『急速に進みそうな車のEV化と射出成形の対応』の動画といただいたご質問への回答を掲載いたします。ぜひご覧ください。
ウェブセミナー資料をダウンロードできます
『急速に進みそうな車のEV化と射出成形の対応』セミナーの資料をご用意いたしました。ダウンロードしてご活用ください。
ウェブセミナー内容
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- EV化による射出成形加工業者のビジネスチャンス
- 車載部品成形分野への参入に求められる規格IATF16949とは?
- ムダの予防・バラツキ低減に貢献する『トータルリンク』
- リサイクル材料による成形バラツキを低減『粒断機」
EV化による射出成形加工業者のビジネスチャンス
EVとは?
- EVとは電気を動力にして動く車両=電動車両”全般を指す言葉
- バッテリーの電気“だけ”を使ってモーターで走るBEVや、バッテリーに貯めた電気“以外も”使って走ることができる、HV車、FCV車もそれにあたります
- EV化が加速する理由としては、環境問題を背景に、車業界では世界全体で2040年までに、電気自動車(EV)等の「ゼロエミッション車」とすることが発表されたからです
EV化にともなう主な自動車メーカーの動向
トヨタのEV動向
30年までに8兆円(4兆円はEV向け)を投資、EV30車種投入。同年にEV350万台の販売目標 日産 今後5年間で電動車開発などに約2兆円を投資。30年度までにEV15車種と投入
ホンダのEV動向
40年に世界で販売する全ての車種をEVもしくはFCVに
独 フォルクスワーゲンのEV動向
25年までに電動化に520億ユーロ(約6兆7000億円)を投資。30年に世界の新車販売の5割をEVに
米 ゼネラルモーターズのEV動向
25年までにEVと自動運転技術に350億ドル(約4兆円)を投資。新型EV30車種以上を投入
欧州 ステランティスのEV動向
25年までに電動化と関連するソフトウエアに300億ユーロ(約3兆9000億円)超を投資
(出所:2022年1月28日付 日刊工業新聞より)
EV化による自動車部品産業への影響
EV化によるパワートレインの変化に伴い自動車部品への影響は非常に大きく、内燃機関部品を中心に全体の約35%の部品が影響を受けるとあります。
エンジンやエンジン部品は完全なEV車ではほぼ100%不要となります。
EV化の進展による自動車産業の方向性
エンジン車はガソリンでエンジンを動かし、EV車は電機でモーターを動かし駆動力を生みます。 EV車はエンジンが不要となる代わりに、バッテリー、インバーター、モーターの3部品が需要部品となります。
パワートレインの変化に不随して、車両軽量化(新たな素材・工法の採用・開発) などの“EV化による変化”への対応が必要となりそうです。
EV化により影響がでてくる樹脂部品(一部抜粋)
エンジン部分や内燃機関部品を中心に影響がでてきます。
用途 | 樹脂 | 樹脂の特性 |
燃料タンク | PE (ポリエチレン) |
加工性大 |
吸気管 ラジエータタンク 冷却ファン等 |
PAポリアミド (ナイロン) |
耐油性 耐疲労性 耐クリープ性良好 |
燃料ホンプ 動力伝達用部品 |
POM (ポリアセタール) |
耐摩耗性 耐衝撃性 自己潤滑性 |
変速機/冷却水系部品 エンジン廻り機構部品 油圧ピストン、シリンダ モータエンドキャップ |
PPA (ポリフタールアミド) |
PAより高い耐熱性、高温でより高い強度と剛性を示す高い耐薬品性。PC、PA並み低価格 |
イグニッション部品 | PSU (ポリスルフォン) |
耐熱水性、高透明性 |
パワートレイン (トランスミッシン、プーリー、 ウォーターポンプ等) |
PF (フェノール) |
耐熱・耐寒性 耐酸性、耐溶剤性 難燃性、低発煙性 |
マフラー等 | BMI (ビスマレイミド) |
高耐熱、耐酸化性 硬くてやや脆い |
スパークプラグのカバー | LSR (シリコーンゴム) |
高強度かつ柔軟性があり、耐熱性・耐薬品性・電気絶縁性がある |
EV化の進展による自動車産業の方向性
車に搭載されるの電気関連部品の増加にともなうビジネスチャンス
- 電動化によって変わる自動車部品
PCU(パワーコントロール)、バッテリー、モータ、充電ガン・インレット - ADAS(先進運転システム・高度運転システム)
- カメラセンサーの増加
2010年以前4個のカメラ→2020年19個まで増える
CMOSセンサー、バックモニター、アラウンドビュウモニター、電子ミラー、室内カメラ(ドライバーモニタリング) - クルーズコントロール
- ビューイングと車内カメラ融合(ドライバーモニタリング用)
EV市場へ相次ぐ異業種からの参入
高い技術力を持った企業の新規参入が期待される
EV車は車体構造がとてもシンプルで、使用される部品数が大きく減少することも特徴のひとつです。エンジン式自動車は、部品数が多いため組立が困難で、部品を製造している系列企業間のすり合わせがとても重要でした。それが、新規参入を希望する企業にとって大きな壁となっていたと言われています。ですが、部品の少ないEV車では、その壁が低下するため、高い技術力を持った企業の新規参入が進むことが期待されます。
- SONY モビリテイー事業へ参入
- 出光興産 超小型EVで参入
- ヤマト運輸 EVトラックを導入
- アップル EV参入、韓国現代自動車と交渉
- 中国百度 EV参入表明
- 華為技術(ファーウェイ)EV参入表明
- アリババ・ホンハイ精密工業 EV参入表明 など
車には多くのプラスチック部品が採用されている中、新たなコンセプトのEV誕生は今まで搭載されなかったプラスチック製品が車に搭載されることも予測され、こちらも大きなビジネスチャンスと捉えることができるかもしれません。
車載部品成形分野への参入に求められる規格IATF16949とは?
IATF16949とは?
2016年IATF(International Automotive Task Force)はグローバリズムの進展と複雑化するサプライチェーン等の環境変化を加味し、従来のISO/TS16949に替わり、自動車業界における顧客志向のプロセスアプローチに基付くシステムの構築と運用及び、内部監査の方法を定めた規格としてIATF16949を発行しました。
- ピラミットで表現すると、ISO9001は部品やサービス全般の幅広い範囲に向けた品質要求です
- IATF16949は自動車に使う部品に限定することで、高い品質レベルを要求しています
- ISO9001に自動車の要求とお客様の要求(CSR)を加えたものです
IATF16949の審査準備は何をするのか?
下記6つが全て揃ってないと審査には不合格になります。
- 自動車特有の要求(コアツール)
- APQP(先行製品品質計画)
- FMEA(故障モードと影響解析)
- CP(コントロールプラン=工程の設計図)
- MSA(計測システム解析)
- SPC(統計的工程管理)
- PPAP(生産部品承認プロセス)
FMEA(故障モードと影響解析)とは?
製品を作る段階のどこに製品を故障させる原因が潜んでいるかを数値化する。
- 「重要度×発生度×検出度」のかけ算で1,000点満点
- かけ算の結果を、リスク優先度(RPN)と呼ぶ
故障モード | ー |
故障が与える具体的な影響 | ー |
重要度 | ー |
故障が発生する原因 | ー |
発生度 | ー |
検出するために行っていること | ー |
検出度 | ー |
リスク(RPN) | ー |
例:自転車の場合
改善前 | 改善後 | |
故障モード | 部品間違い | 部品間違い |
故障が与える具体的な影響 | 自転車が機能しない | 自転車が機能しない |
重要度 | 10 | 10 |
故障が発生する原因 | 似た名前の部品がある | 似た名前の部品がある |
発生度 | 6 | 6 |
検出するために行っていること | 部品の名前を目で見て確認 | バーコードでの照合 |
検出度 | 5 | 1 |
リスク(RPN) | 300 | 60 |
- 人の確認だと、見間違いや見逃しが起こるので、機械を利用した照合に変更
(上記の例だと、目視 → バーコード管理へ) - 100%見つけることができるため、検出度は「1」
RPN(リスク)は300→60に下げられる
トータルリンクや粒断機でムダ、バラツキを防ぐ
不適合品のムダを防ぐ
トータルリンクなら周辺機器が原因の「成形不良のムダ」を防ぎます!
- ロボットの金型メモリに周辺機器の設定を記憶、温度やタイマーの設定ミスを防ぐ
- 乾燥時間、金型昇温時間が経過していない場合、ロボットは起動せず材料も搬送させない
- 周辺機器の異常発生、運転停止等をロボットがお知らせ
- 周辺機器の温度・水流量、異常、電源遮断、運転停止を監視し、ロボットが「要検査品」として振り分け
樹脂のムダを防ぐ
トータルリンクなら「材料供給のムダ」を防ぎます!
- 成形終了に合わせ、材料供給を最小限になる様、自動計算して停止
電気のムダを防ぐ
トータルリンクなら周辺機器「運転時間」のムダを防ぎます!
- ロボット自動運転停止時に、周辺機器へ生産終了指示をしてお知らせ
工程や段取りのムダを防ぐ
トータルリンクなら「周辺機器操作のムダ」を防ぎます!
- ロボット自動運転停止後、金型温調機を自動冷却、自動パージする
- ロボットのコントローラに、翌日の成形開始時刻入力で材料乾燥や金型温調の時間を考慮し、タイマー自動設定!
射出成形で想定されるバラツキを防ぐ
- 製品寸法のバラツキ
- 製品外観品質のバラツキ
- 製品強度のバラツキ
- 4M変動によるバラツキ
ムダの予防・バラツキ低減に貢献する『トータルリンク』
(セミナー動画を見る17:05~)
周辺機器が原因の「成形不良のムダ」を防ぐ
乾燥時間未達なときは自動で起動させない
乾燥時間、金型昇温時間が経過していない場合、「ロボットは起動しない」「材料も搬送させない」ことで、ヒューマンエラーによる成形のバラツキを低減できます。
異常時には取り出しロボットが製品を自動選別
トータルリンクでは、成形中、各周辺機器が正常に作動しているかをロボットが監視。万一、周辺機器の故障や停止を確認すると、取出しロボットが製品を自動選別し、異常を知らせてくれます。ロボットの常時監視で周辺機器異常による製品寸法・外観不良・製品強度のバラツキを低減できます。
「樹脂のムダ」を防ぐ
トータルリンクでは、予め設定された「成形数量」「成形終了時」に合わせ、必要最小限の樹脂供給を行うことができます。これにより、捨てる樹脂のムダを大きく削減でき、原価低減と共に成形終了時の作業工程のムダを予防できます。
リサイクル材料による成形バラツキを低減『粒断機」
リサイクル材料による成形バラツキを低減する秘密
ハーモ独自の「スイング・プレス・カット方式」にあります。
- ハーモの粒断機は通常の粉砕機と違い、樹脂を一定のサイズで連続切断が可能
- 粒もそろって、バージン材に近い形状のため、再生材による成形品質が安定
バージンペレットとほぼ同サイズのリサイクル材を実現!
- 粒断機を多数ご購入いただいているお客様が、再生材で成形を行い、他のメーカー3社の粉砕機と弊社の粒断機を客観的に比較していただいたものです
- 特に計量時間の安定性において、明らかに弊社が突出して優れていることがお分かりになるかと思います
- ハーモの粒度はバラツキが少なく、粉が少ないために計量時間も短く、かつ計量時間のバラツキも少ないことから、計量が安定して行われると言えます
計量に時間がかかる要因
計量に時間がかかるのは、様々な要因が考えられますが、一つに材料の噛みこみ不良が考えられます。50トンの射出成形機におけるスクリュー径は、メーカーにもよりますが、およそ25Φ前後。供給ゾーンの溝深さは4mm強程度です。樹脂の新材はペレットの大きさが3~5mmです。
スクリューの供給ゾーンの溝の深さに合わせるのが重要
リサイクル材においてはなおさらで、粒が大きくてスクリューの供給ゾーンの溝の深さよりも大きくなる場合は、材料が噛みこまず、スクリュー前方へなかなか供給されません。また、粉が多くても空回りして同じ現象が起きたり、溶融にも時間がかかります。
スクリューの供給ゾーンの溝の深さに合わせるのが重要ですので、粒度のバラツキが少ないハーモの粒断機が最適と言えます。
『粒断機』のデモ機貸し出し・サンプルカット
お気軽にご相談ください
IATF16949が要求するムダの予防とバラツキ低減
射出成形で「無駄を無くしたい」「品質を改善したい」「コストを抑えたい」ハーモの「トータルリンクシステム」はそんな悩みにお応えします。
IATF16949が要求するムダの予防とバラツキ低減にはトータルリンクと粒断機がお役に立てるかもしれません。