なぜ、今「多品種少量生産」が増えているのか
「以前よりも品種が増えた」
「1品種あたりの生産数量が減ってきた」
「金型交換や材料替えが多く、段取りに時間がかかる」
射出成形の現場でこうした声を聞く機会が増えています。
製造業を取り巻く環境の大きな変化
その背景には、製造業を取り巻く環境の大きな変化があります。かつての製造業では、「同じものを大量に、できるだけ速く作る」ことが生産性向上の基本でした。
しかし現在は下記などを背景に多品種少量生産への対応が求められています。
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顧客ニーズの多様化
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製品ライフサイクルの短期化
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原材料コストの高騰や在庫削減
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少子高齢化による人手不足
多品種少量生産が前提となる現在、成形機そのもののサイクルタイムを短縮するだけでは、大きな生産性向上につながりません。なぜなら、品種が変わるたびに発生する「段取り替え」が生産時間の中で大きな割合を占めるようになるからです。
段取り替えのロスをどう解決するか
ポイントは段取り替えを「作業者が頑張って短くする」のではなく、誰が作業してもスピーディーにミスなくできる仕組みをつくることです。
多品種少量生産では「止まっている時間」が問題になる
例えば、ある成形工場で下記の生産を繰り返しているとします。
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A製品を1,000個
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B製品を2,000個
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C製品を500個
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D製品を3,000個
それぞれの成形サイクルが短くても、製品を切り替える度に下記のような作業が発生します。
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金型を交換する
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材料を入れ替える
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乾燥条件を変更する
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成形条件を変更する
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金型温度を変更する
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取出しロボットの条件を変更する
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チャックを交換する
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ニッパー位置を設定する
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成形品のストック方法を変更する
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包装条件を変更する
確認する時間も積み重ねると大きなロスになる
さらに問題なのが、これらの作業の一部が作業者の経験や記憶に依存していることです。
「この材料は乾燥温度○○℃だったはず」
「この金型の温調設定は……」
「この製品のチャック板はどれだった?」
「ゲートのカット位置はここだったかな?」
こうした「確認する時間」が積み重なるだけでなく、設定間違いによる不良や、立ち上げ時の調整時間にもつながります。
つまり、多品種少量生産における生産性向上では、「成形している時間」だけでなく、「成形していない時間」をどう減らすかが重要なのです。
段取り替えを「4つの視点」で効率化する
段取り替えを効率化するためには、単純に作業時間を測るだけでは十分ではありません。ハーモでは、射出成形の前工程から後工程までを含めて、段取り替えを考えることが重要だと考えています。そのポイントが、「交換する」「設定する」「確認する」「ミスを防ぐ」という4つの視点です。
①「交換する時間」を短くする
金型やチャック、材料など、実際に物を交換する時間を短縮
特に取出しロボットでは製品形状が変わればチャックの交換や調整が必要になります。ハーモでは吸着・吸引・把持・切断など、成形品に応じたさまざまなチャック用アタッチメントをご用意しています。
ハーモのチャック用アタッチメント
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ワンタッチアタッチメント
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スマートハンドアダプタ
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ワンタッチ待機ニッパー
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ニッパーアジャスタ
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自動チャック板交換
さまざまなアタッチメントを活用することで、チャック板の交換、配線・配管、ニッパーの位置決めなどにかかる作業時間を短縮できます。
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乾燥工程を止めない2タンク式除湿乾燥機
また、予備の乾燥タンクを備えた2タンク式除湿乾燥機を活用することで、材料替え時にも乾燥工程を止めにくくすることができます。
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②「設定する時間」を短くする
多品種少量生産で特に重要なのが設定作業の効率化
製品が変われば複数の設備を設定しなければならない場合があります。
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ロボットの条件
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乾燥温度・時間
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金型温度
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ストック条件
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包装条件
これを人が一つひとつ設定すると、時間がかかるだけでなく、設定漏れや入力ミスの原因にもなります。そこで重要になるのが、「製品ごとの条件を設備に記憶させ、必要なときに呼び出す」という考え方です。
つまり、「人が覚える」のではなく、「設備が覚える」という発想です。これなら、ベテラン作業者の経験や記憶に頼る必要を減らし、経験の浅い作業者でも安定した段取り替えを行いやすくなります。
③「確認する時間」を減らす
段取り替えでは、実際に設備を操作している時間だけでなく、「これで合っているか?」と確認する時間も発生します。
「この製品の設定はどれだったか?」
「このチャックで合っているか?」
「金型温度は何℃だったか?」
「この材料の乾燥条件は?」
こうした確認作業は一つひとつは短くても、品種が増えるほど積み重なります。さらに、確認のためにマニュアルや過去の記録を探したり、ベテラン作業者に聞いたりすることもあります。だからこそ、製品ごとの条件を設備側に記憶させ、必要な情報をすぐに呼び出せる仕組みが重要になります。
④「ミスを防ぐ仕組み」をつくる
段取り時間を10分短縮することばかりに目が行きがちですが、実際には段取りミスによって発生する不良のほうが、大きな損失になる場合があります。
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乾燥温度を間違えた
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金型温度を間違えた
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材料を間違えた
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ロボットの条件を間違えた
このようなミスによって、数百ショット、場合によっては数時間分の製品が不良になる可能性があります。そのため、ミスを「作業者の注意力」で防ぐのではなく、「ミスが起きにくい設備・仕組みをつくる」ことが重要です。
例えば、材料替えでは乾燥機の清掃やメンテナンスを簡単にすることも、段取りミスや材料混入を防ぐ上で重要です。
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設備をつなげれば、段取り替えはさらに変わる
さらに一歩進めるなら、設備を個別に効率化するだけではなく、設備同士をつなげるという方法があります。
ハーモのトータルリンクで周辺機器を一括管理
ハーモの「トータルリンク」は射出成形周辺機器をつなぎ、ロボットから周辺機器を一括して設定・起動・管理することで、自動化、品質向上、コスト低減を目指すシステムです。
このトータルリンクの機能で上記課題の②③④は解決に近づきます。
「製品Aを生産する」と指定した場合
成形機
↓
取出しロボット
↓
乾燥機
↓
金型温調機
↓
材料搬送
↓
ストック・包装
これらの複数の設備が、それぞれ必要な条件に自動で切り替えられる。それがハーモのトータルリンクです。このような仕組みを構築すれば、作業者が設備を一台ずつ設定して回る作業を減らすことができます。

また、トータルリンクでは自動運転中も周辺機器の状態を監視し、異常や変化を検知した際にはアラームによって作業者に知らせるなど、品質の安定化にもつなげることができます。

「段取り替え」を工程全体で考える
ここで重要なのは、段取り替えを「成形機だけの問題」と考えないことです。
射出成形には下記のように一連の工程があります。どこか一つだけを速くしても、別の工程で時間がかかれば、工場全体の生産性は上がりません。
材料準備
↓
乾燥
↓
搬送
↓
金型温度調節
↓
成形
↓
取出し
↓
ストック・包装
ロボットからストック装置(または包装機)まで自動化する
例えば、取出しロボットによって成形品の取出しを自動化しても、後工程で作業者が一つひとつ箱詰めしていれば、そこがボトルネックになります。そこで、ロボットからストック装置(または包装機)までを自動化する取り組みはボトルネックの具体的な解決策として大いに有効です。
ハーモでは取出しロボットと連動して成形品を自動でストック・パレタイズするストック装置 や自動包装機 など、後工程まで含めた自動化をご提案できます。

目指すのは「段取りゼロ」ではなく「人が段取りしなくてもよい仕組み」
多品種少量生産では、段取り替えを完全になくすことは難しいかもしれません。
しかし、下記の対応で段取り替えにかかる時間と負担を大きく減らせます。
「交換する時間を短くする」
「設定する時間を短くする」
「確認する時間を減らす」
「ミスが起きにくい仕組みにする」
そして、その先にあるのが、「覚えない。探さない。確認しない。間違えない」そんな段取り替えの仕組みです。
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「段取り替えに時間がかかる」課題は単なる作業時間の問題ではありません。
それは「もっと自動化できる余地がある」というサインかもしれません。
ハーモは射出成形の前工程から後工程まで、さまざまな設備をつなぎ、現場に合わせた生産性向上・省人化・品質安定をご提案します。
多品種少量生産の時代だからこそ、設備単体ではなく「成形ライン全体で段取り替えを考える」ことがこれからの生産現場に求められています。