製造現場における静電気は季節を問わず発生し、多くの現場で品質や作業効率に悪影響を及ぼしています。特に樹脂を扱う射出成形業界では静電気は避けて通れない問題です。しかも、深刻な問題の割には対策は現場に任される傾向があります。
そこで今回は静電気が発生する仕組み、その影響、そして除去するための装置の種類と当社の画期的な静電除去装置をご説明します。
1. 静電気が発生するメカニズムとは?
静電気は物質同士が接触・摩擦・剥離することで電子の移動が起き、一方が正の電荷、もう一方が負の電荷を帯びることで発生します。これは「摩擦帯電」と呼ばれ、代表的な静電気の発生原因です。
射出成形の工程で静電気が発生する例
- 成形品が金型から剥がれる瞬間
- 搬送装置に触れたとき
- ランナーをカットする工程など
- 特に乾燥した環境や絶縁性の高い樹脂(PE、PP、PCなど)を扱う場合、帯電しやすい傾向があります
2. 射出成形業界における静電気の影響
静電気が引き起こすトラブルは多岐にわたります。
異物付着による外観不良
静電気は空気中の塵や繊維を引き寄せ、成形品に付着させてしまいます。特に透明樹脂や白系成形品では外観不良となりやすく、目視検査や顧客からのクレームにつながります。さらには次工程の塗装を行う際にも影響を及ぼします。
自動搬送工程での誤作動・搬送エラー
成形品が静電気で吸着し、反発してずれて、整列しにくくなったり、センサーの誤検知を引き起こしたりすることがあります。
放電による設備損傷や作業者へのショック
蓄積した静電気が突然放電することで、電子機器の故障や作業者の感電(ショック)事故につながるケースもあります。事故にはならなくとも、パチンというショックを毎回受けるのもストレスになるでしょう。
粉じん爆発のリスク
帯電による火花が引火源となる可能性もあり、特に粉体材料を扱う現場では注意が必要です。
静電気による反発で、部品が床や周囲に飛散する
コネクタなどの微細成形品を成形した後、取出ロボットから回収箱などに開放する際に、静電気による反発で製品が箱からはじけ飛び、床などに飛散してしまう。
型修後の射出成形時に、エジェクトしても製品が金型から離れない
金型修理、調整作業(いわゆる型修)後には特に静電気が発生しやすく、射出成形時にエジェクトピンでエジェクトしても自然落下、自然解放されず静電気で金型にくっついて離れない現象が起きる。
射出成形後にコンベヤに解放する際に、チャック板にくっついて離れない
射出成形後に取出ロボットでチャック等した後、コンベヤに解放する際に静電気でチャック板にくっついて離れない。
3. 静電除去装置にはどんな種類があるか?
静電気を制御するためには『除電装置(イオナイザー)』の活用が有効といわれています。現在、射出成形業界では以下のような静電除去装置が用いられています。
ブロア型イオナイザー(送風式)
- イオンを風に乗せて対象に吹き付ける方式
- 広範囲に適用でき、設置も簡単
- 成形品の取り出し後や搬送前に設置されることが多い
ノズル型イオナイザー(圧縮空気式)
- ピンポイントで除電が可能
- 自動化設備やロボットアームの先端に取り付ける例もあり
- 高速除電が必要な現場に適しています
バー型イオナイザー(棒状)
- 成形機やコンベアライン上に設置し、広い範囲を除電
- 設備に固定して使うケースが多い
- メンテナンスも比較的容易です
パルスAC/DC方式・高周波方式
- イオンの生成方式もさまざまあり
- 除電スピード・残留電圧・イオンバランスなど、用途に応じた選定が必要です
4. 従来の静電除去装置では解決できない場合はハーモの奪電機がおすすめ
.png?width=1280&height=670&name=%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%A2%E8%A3%BD%E5%93%81%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88%7C%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%88%E9%80%9A%E9%81%8E%E5%BC%8F%E7%9E%AC%E9%96%93%E9%99%A4%E9%9B%BB%E8%A3%85%E7%BD%AE%7C%E5%A5%AA%E9%9B%BB%E6%A9%9F%7Cogp%20(1).png)
送風を使わず瞬間除電
風要らずの瞬間除電
これまでのイオナイザーの欠点だった除電時間や送風機の騒音、ホコリ、再帯電などがハーモの『奪電機』ありません。
これまでのイオナイザーの欠点
- 除電に時間がかかる
- 送風機がうるさい
- 風でホコリが舞う
- オゾン臭い(有害)
- 除電後にイオンが離れて再帯電することがある
ハーモの奪電機の特徴
- 高速物体でも瞬間的に除電できる
- 物体がプラス、マイナスのどちらに帯電していても対応
- 送風機がないので省電力、騒音なし、ホコリの飛散なし
- オゾンが少ない(通過時のみ発生)
- 原理的に再帯電しない
静電気のエネルギーを利用してコロナ放電を発生させれば、物体を除電できる
ハーモの奪電機は電極に特殊ワイヤを使用し、これに高電圧を印加します。電極と物体の電位差が拡大するため、遠距離であっても電気力線を効果的に集中させて、確実にコロナ放電を発生させることができます。

また、電気力線は光の速さで形成されるため、高速で移動する物体も瞬間除電が可能です。この除電方式は静電気のエネルギーを奪い取り、熱・光・音に変換します。
物体の除電時間


奪電機の特徴や仕組みを動画で解説
これまでのイオナイザーと奪電機との比較、瞬間除電の仕組みなどを動画でわかりやすく説明しています。ぜひご覧ください。
静電気除去のテストをお試しください
こんな企業様におすすめです。
- イオナイザーでは静電気が除去しきれずに困っている
- 送風機の騒音、ホコリによる労働環境を改善したい
- 静電気による成形品パレタイズ時の不良を改善したい
ハーモの奪電機を無料でお貸し出しして静電気除去のテストをしていただけます。奪電機の設置には弊社担当者がお伺いし、品質改善のサポートをいたします。お気軽にお申し込みください。
