ランナー(またはスプル)と製品を一緒に粉砕して再利用するのは果たして良いことなのか?

ランナー(またはスプル)と製品を一緒に粉砕して再利用するのは果たして良いことなのか?

よくある樹脂リサイクルへの疑問

ランナーリサイクルという言葉を聞いたことがおありでしょうか。樹脂コスト削減やSDGs、CO2削減の観点から『ランナーなどのリサイクル』は時代の流れとなりつつあります。

射出成形は熱可塑性樹脂を加熱溶解し、金型に高圧で充填して製品を成形する加工法です。この工程において、樹脂が金型に流入する経路であるランナーやスプルー、ゲートといった製品とは別の部分が必ず発生します。

これらは製品の品質には直接関係しないため、通常は切り離されて廃棄されます。しかし、これらのランナーを廃棄するのではなく、再利用する/リサイクルが現代の成形加工業に求められるようになりました。

ランナーリサイクルの意義

ランナーリサイクルには主に3つの意義があります。

1. コスト削減

新品の樹脂原料は高価であり、製造コストの大部分を占めます。ランナーを粉砕して再利用することで原料の購入量を減らし、直接的に原料費を削減できます。特に大量生産を行う場合、このコスト削減効果は非常に大きくなります。

2. 環境負荷の低減

廃棄されるランナーは産業廃棄物となり、焼却や埋め立て処分にはコストがかかるだけでなく環境への負荷も伴います。ランナーをリサイクルすることで廃棄物の発生量を抑制し、資源の有効活用を促進できます。これは企業の社会的責任(CSR)を果たす上でも重要です。

3. 資源の有効活用

限りある石油資源から作られるプラスチックは持続可能な利用が求められています。ランナーをリサイクルすることは資源の循環利用を促進し、持続可能な社会の実現に貢献します。

ランナーリサイクルにおける注意点

ランナーリサイクルは多くのメリットをもたらしますが、その実施にはいくつかの注意点があります。

1. 材料の劣化 Degradation

射出成形プロセスにおいて樹脂は高温にさらされます。再加熱・再成形を繰り返すことで、樹脂の分子鎖が切れ、物性が低下する材料劣化が起こる可能性があります。具体的には引張強度、衝撃強度、表面光沢などが低下し、製品の品質に悪影響を及ぼす恐れがあります。そのため、リサイクル材の配合比率には細心の注意を払う必要があります。一般的には新品材料とリサイクル材の混合使用(バージン材とのブレンド)が推奨されます。

2. 異物混入 Contamination

ランナーを粉砕する際、外部からの塵埃や他の種類のプラスチック、金属片などが混入する可能性があります。これらの異物混入は製品の成形不良(例:黒点、ボイド)や金型の損傷を引き起こす原因となります。粉砕機の清掃や粉砕後の材料の選別・管理を徹底することが重要です。

3. 色の変化 Color Change

特に着色された樹脂の場合、リサイクルを繰り返すことで色が変化したり、ムラが発生したりする可能性があります。これは熱による顔料の劣化や異なる色のランナーが混ざることで起こります。製品の色調が重要な場合は色管理に特に注意が必要です。

4. 品質管理 Quality Control

リサイクル材を使用する場合、製品の品質を一定に保つために厳格な品質管理が不可欠です。リサイクル材の配合比率の管理、物性試験の実施、成形条件の最適化などを継続的に行う必要があります。特に、医療品や食品容器など高い信頼性が求められる製品にはリサイクル材の使用が制限される場合もあります。

5. プロセス管理 Process Control

リサイクル材はバージン材と比べて流動性や固化特性が異なる場合があります。そのため、射出成形機の成形条件(温度、圧力、速度など)の再調整が必要になることがあります。適切なプロセス管理を行うことでリサイクル材を使用しても安定した品質の製品を生産できます。

ランナーと製品を一緒に粉砕するのは最適なのだろうか?

射出成形におけるランナーのリサイクルは「環境負荷の低減」「資源の有効活用」「コスト削減」という点で非常に大きな意義を持ちます。そのためにも材料劣化、異物混入、色の変化、品質管理、プロセス管理といったリサイクル時の注意点を十分に理解し、適切に対処することが必要です。

ここで考えていただきたいのはランナー(またはスプル)と製品を一緒に粉砕して再利用することは果たして良いことなのか?という問いです。

そもそも全く違う形のものを一緒に粉砕して再利用することに無理があると私たちハーモは考えます。

ランナーと製品を一緒に粉砕する際の問題点

粉砕機ですべて一緒に粉砕、リサイクルするのは材料の無駄が無い方法と考えることもできますが、結局この方法だと下記のような問題が現れます。

原料としての再生材

「粉が多い」「ミスカットが多い」「リサイクル材の粒度が不均一」

成形品質面

「黒点」「白点」「曇り」などの成形不良が現れる

成形工程の観点

「ホッパ間口のブリッジ」「計量時間の不安定」が出てくる

管理面

粉が多く、清掃が困難

つまり、粉砕に手間とコストをかけず省略すると後工程で手間とコストがかかるという結論に陥りがちです。

 

製品とは別にランナーのみリサイクルする

ランナーリサイクルという考え方

そこで考えたいのが「ランナーリサイクル」という考え方です。製品とは別にランナーのみリサイクルするという発想です。

ランナーやスプルに適したカット方法を用いれば、粒度が安定して粉も少なく、リサイクル成形品の品質は格段に向上します。したがって、今までよりも混合率の向上が可能となり、コスト改善も行えます。

しかもお勧めしたいのは、粉砕室にまとめて持って行って粉砕するのではなく成形機一台ごとに粉砕機を置きそのままリターンをかける手法です。これにより、粉砕室で粉まみれになって粉砕材を扱って、現場との往復をする必要もなくなります。

ランナーリサイクルに最適なハーモの粒断機

ハーモ製品サイト|粒断機SPCIISPCIIIシリーズ|ogp (1)

ランナーリサイクルに適した製品がハーモの「粒断機」です。粒状に近い形で切断するので「粒断機」と呼びます。今や年間1200台以上の出荷実績となり世界中に輸出もされています。

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