増加するリサイクル樹脂材料の活用
プラスチック資源循環促進法、カーボンニュートラル、樹脂価格高騰や樹脂不足などを背景として、樹脂のリサイクルに真剣に取り組まれる射出成形加工業者様がここ数年で急速に増加しています。
しかしながら、樹脂のリサイクルを行う際に、バージン材とリサイクル材を成形機へいかに最適供給するかの視点は意外と見落とされているかもしれません。
このコンテンツの目次
リサイクル樹脂材料の成形機への供給:現状と課題
オフラインでのバッチ処理方式
乾燥機へ投入して再乾燥後に成形機へ供給する方法
粉砕されたスプールランナーのリサイクル材は、バージン材と一定に混合する必要性から、粉砕材を纏めてタンブラーでバージン材と混合した後、乾燥機へ投入して再乾燥後に成形機へ供給する方法があります。
この方法では別途作業をする必要があり下記の課題が残ります
オンラインでの1バイ1方式
バージン材とリサイクル材を1バイ1方式で成形機へ供給する方法
オフラインでのバッチ処理方式の課題を解消するために、バージン材とリサイクル材を1バイ1方式で成形機へ供給する方法もあります。
1バイ1方式の場合、成形機ホッパーへ供給されるバージン材料とリサイクル材は交互に輸送されるため、供給された樹脂は成形機ホッパー内で層状態となります。
「均一に混ざらない」という課題
このため、射出バレル内へバージン材とリサイクル材が均一に混ざった状態で供給されず、成形品の品質に影響を及ぼすといった課題があります。
混合機からガラス管ホッパーへ輸送した場合
(ヘリカルホッパー不使用)
リサイクル材を再乾燥させてバージン材と混合する方法
「均一に混ざらない」という課題を解消するため、リサイクル材をもう一度乾燥機へ戻して、再度乾燥させてから混合ローダーを使い、バージン材と混合した後に成形機ホッパーへ樹脂を供給する方法もあります。
この場合、粉砕されたリサイクル材は、成形直後であることから、再乾燥は不要な状態ですが、再び乾燥機へ戻すこととなるため、必要以上に乾燥を行うことになりなります。
「再乾燥」による課題
PPSやアクリル系透明樹脂などは、過乾燥による製品の色調変化や流動性の変化による品質異常を引き起こすと言った課題もあります。
また、品質異常の他に下記の課題も起こりえます。
- 再乾燥の必要ないリサイクル材を更に乾燥することによる無駄な電力消費
- 成形後に乾燥機に残った余剰材は、バージン材とリサイクル材の割合が分かりにくいため、余剰材の材料管理が大変
- 場合によっては余剰材を廃棄
リサイクル樹脂材とバージン材の最適な供給方法
下記の4項目を満たす方法が、最適なバージン材とリサイクル樹脂材の供給方法と言えそうです。
4つのポイント
- オフラインでリサイクル材とバージン材を混合する作業を省く
- 成形機ホッパー内でリサイクル材とバージン材とが層状態にならずに均一に混合された状態で射出バレル内へ供給する
- 樹脂の過乾燥による品質異常防止と無駄な電力消費を低減する
- 成形後、乾燥機内に残る余剰材を管理しやすい状態で供給する
粒断機・除湿乾燥機・ヘリカルホッパーによる最適供給
従来とコラボ機の比較
1バイ1方式でリサイクル材とバージン材を成形機へ供給
粒断機・除湿乾燥機・ヘリカルホッパーによる最適材料輸送は、1バイ1方式でリサイクル材とバージン材を成形機へ供給します。
ハーモ『粒断機』と『除湿乾燥機』のコラボ機能
正確な量のリサイクル材とバージン材を成形機ホッパーへ供給
リサイクル材の供給
バージン材と混合する必要量のリサイクル材は、粒断機に取り付けられた樹脂切り出し装置から供給します。
バージン材の供給
リサイクル材と混合する必要量のバージン材は、除湿乾燥機に取り付けられた樹脂切り出し装置から供給します。
この機能により、正確な量のリサイクル材とバージン材を成形機ホッパーへ供給することが可能となります。
白色と黒色の材料をコラボ機のヘリカルホッパーへ輸送した事例
ハーモ『ヘルカリホッパー』の攪拌機能
成形機ホッパー内へ層状態を解決する
上記の時点では粒断機と除湿乾燥機から交互輸送に近い方式で樹脂供給されるため、成形機ホッパー内へ層状態に供給される課題があります。この課題解消にハーモの『ヘリカルホッパー』が貢献します。
ヘルカルホッパーによる樹脂の均一供給
- バージン材とリサイクル材が成形機ホッパーへ供給
- ヘリカルホッパーで攪拌混合されてから、射出バレル内へ均一に供給
- 成形品の品質異常を防止
ヘリカルホッパーの製品ページを見る
再乾燥なしだから、過乾燥も解決。電力消費も低減
粒断機から供給されるリサイクル材は、再乾燥されることなく成形機ホッパーへ供給されます。これにより、過乾燥による品質異常の防止と無駄な乾燥の削減による電力消費の低減にも繋がります。
成形後の余剰材の管理も容易に
成形後、除湿乾燥機内に残る余剰材はバージン材のみです。成形後の余剰材の管理も容易となります。最適供給方式では、リサイクル材とバージン材輸送のホースは1系統で完結できることから、成形機周辺の面積生産性や5Sにも貢献できます。
粒断機・除湿乾燥機・ヘリカルホッパーのコラボ
バージン材とリサイクル樹脂を最適供給
再乾燥のムダをなくして、熱劣化も防ぐ
粉砕材をリサイクルするためにもう一度乾燥するのはムダではないでしょうか。粉砕材を乾燥せずに直接成形機に送ることで、再乾燥による樹脂の熱劣化も防げますし、乾燥機の掃除も楽になります。ヘリカルホッパーできれいに材料も混合してくれて良いことづくめのコラボです。
『粒断機と乾燥機の計量混合コラボ』ダウンロード資料
砕材を乾燥せずに直接成形機に送り、再乾燥による樹脂の熱劣化を防ぎます。
『材料乾燥』をテーマにしたセミナーレポート
- 「気候によって成形品の不良率が変化する」
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環境や状況の微妙な変化によって様々な成形不良が発生します。そんなお悩みにお答えしたセミナーのレポートです。ぜひご覧ください。
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